
不妊治療は痛いの?

どうすれば痛みは軽減できる?
不妊治療を始めるにあたり、多くの方が痛みや先の見えない不安に悩まれていることでしょう。
麻酔をしたとしても、痛みや不快感は無くなることはありません。
この記事では不妊治療の具体的な検査内容や痛みを軽減する方法を詳しく紹介します。
不妊治療中に感じる痛みには個人差がありますが、適切な対策を取ることで痛みを和らげることができます。
不妊治療の体験談も合わせて解説しているので、治療が始まる前に痛みが生じる治療内容を確認してみましょう。
この記事でわかること
- 不妊治療の体験談
- 不妊治療の具体的な検査内容
- 痛みのでる治療内容
- 治療の痛みを軽減する方法
この記事の監修者
不妊治療って痛いの?体験談を紹介
不妊治療が痛いという声を聴いたことがある方も多いでしょう。
ここでは、実際に不妊治療の痛みを経験した方たちの声を紹介します。
どのような治療で痛みを感じたのかを詳しく確認してみましょう。
薬の副作用で下腹部がキューッと痛むことが頻繁にあった。
引用:たまひよ
体外受精で採卵のあとに、卵巣が腫れて痛くて入院したことがありました。メンタルの管理も大変でしたね。
引用:たまひよ
採卵の際に麻酔が効かず、とても痛かったです。
引用:たまひよ
卵管造影の方が痛かったです!生理痛のピリッとした少しの痛みでした。
引用:園田桃代ARTクリニック
採卵時は、腕に注射する時くらいの痛み。終了後は、月経痛の時の様なにぶい痛み。
引用:園田桃代ARTクリニック
薬の副作用で下腹部が頻繁に痛むことがあります。
また、採卵時の痛みは注射程度で、終了後は月経痛のような鈍い痛みが続くことがあります。
不妊治療の痛みには個人差があるため、麻酔の有無は担当医師と相談しましょう。
痛い5つの不妊治療
不妊治療では痛みが生じる治療と生じない治療が存在します。
ここでは、特に痛いと感じやすい以下の5つの治療について紹介します。
- スクリーニング検査
- 子宮卵管造影検査
- 子宮鏡検査
- 採卵
- 採血や排卵誘発剤などの注射
それぞれの治療内容や具体的な痛みについて確認してみましょう。
スクリーニング検査
不妊治療を始める際には、いくつかのスクリーニング検査が行われ、これらには痛みを伴うものもあります。
スクリーニング検査は、妊娠に影響を与える可能性のある問題がないかを確認するためのものです。
血液検査でホルモンの基礎値を測定する基礎ホルモン検査や、子宮頸部の細胞を綿棒で採取して子宮頸がんのリスクを調べる子宮頸部細胞診があり、これらの検査は少しの痛みを伴うことがあります。
これらのスクリーニング検査の痛みを少しでも和らげるためには、安心して受診できるクリニックを選ぶことが重要です。
不安なことがあれば、1人で悩まずにスタッフや医師に相談しましょう。
子宮卵管造影検査
子宮卵管造影検査では卵管の通過性を確認できます。
卵管は精子と卵子が出会う場所であり、ここが詰まっていると自然妊娠や人工授精が難しくなります。
検査結果で異常が見つかると、卵管を通す手術や体外受精の検討が必要です。
しかし、子宮卵管造影検査では卵管の通過性はわかりますが、機能性までは確認できません。
そのため、通過性に問題がなくても妊娠できない場合は、体外受精への移行を早めに考えるべきです。
子宮卵管造影検査は、腟から子宮にチューブを挿入し、造影剤を注入します。
その後、造影剤が子宮内腔と卵管に広がる様子をレントゲンで撮影します。
造影剤の流れ方によって、卵管の詰まり具合の確認が可能です。
この検査で痛みを感じるポイントは2つです。
最初はチューブを子宮に挿入する時で、内子宮口が狭くなっているため、広げる際に痛みが発生します。
次に、造影剤が卵管内を通過し、閉塞していた卵管が拡張する際に強い痛みを自覚します。
しかし、この拡張が起こると、卵管の通りが良くなるため、卵管造影検査から約6か月は妊娠しやすいゴールデン期間と呼ばれるのです。
子宮鏡検査
子宮鏡検査は、不妊や婦人科の問題を診断するために用いられる検査で、子宮内を小型カメラで観察します。
子宮鏡検査では、3〜5mm程度の小型カメラを腟から子宮内に挿入し、内部を観察します。
子宮内をより見やすくするために、生理食塩水を流し込んで子宮を膨らませます。
カメラで撮影した映像は医師がモニターで確認しながら進めるため、必要に応じて患者も映像を見ることができます。
カメラを挿入する際にはほとんど痛みを感じません。
一方、生理食塩水を子宮内に入れる際には、少し痛みや圧迫感を感じることがあります。
これは液体を入れることによる一時的なもので、麻酔が必要なレベルではありません。
痛みの感じ方には個人差がありますが、耐え難い場合は医師に相談しましょう。
検査後には、軽い腹痛が起こることがあります。
これは子宮内が刺激されたためで、生理痛のような軽い痛みです。
痛みを感じた場合は無理をせず、ゆっくりと休みましょう。
採卵
採卵は、排卵直前に卵巣から卵子を取り出す手術です。
経腟超音波を使って卵胞の位置を確認し、超音波に付属したガイドを通じて細い針を腟から卵巣に刺し、卵胞液と共に卵子を吸引します。
育った卵胞の数が多いほど針を刺す回数が増え、痛みも生じるため、麻酔の使用を推奨します。
麻酔を使用すると、採卵中は眠っているため痛みを感じません。
しかし、麻酔が効きにくい方もおり、その場合は多少の痛みを感じることがあります。
また、採取した卵子の数が多いと卵巣が腫れて歩くと響くような痛みが出ることがあります。
採卵後は通常通りの生活が可能ですが、痛みが気になる場合は激しい運動を避けましょう。
無麻酔での採卵は、完全自然周期や卵胞の数が少ない場合に行われ、この場合はそれほど痛みを感じません。
麻酔を使用するかどうかは、医師と相談しましょう。
採血や排卵誘発剤などの注射
体外受精や顕微授精では、通常の血液検査に加え、卵巣刺激のための排卵誘発剤を使用し、注射による痛みが伴います。
排卵誘発剤の投与方法には以下の2つがあります。
- 自己注射
- 通院注射
通院注射はクリニックで医師が行うため安心ですが、通院の手間や費用がかかります。
一方、自己注射は自分で行うため、通院の手間が省けますが、初めて針を刺す時の恐怖感があるかもしれません。
経口薬や点鼻薬による投与もありますが、効果が薄いため、注射が推奨されます。
注射針は通常よりも細いため、痛みは軽減されますが、それでも痛みを感じる場合はさらに細い針に交換してもらうことが可能です。
痛みやストレスを感じる場合は、医師に相談しましょう。
不妊治療時の筋肉注射が痛い理由
筋肉注射は、刺激の強い薬剤を大量に投与するため、強い痛みを伴うことがあります。
体外受精では、排卵誘発剤やホルモンの注入に筋肉注射が欠かせません。
筋肉注射は腕や太腿、お尻などの筋肉に垂直に深く刺し、薬液を投与します。
他の注射と比べ、針をより深く垂直に刺すため、痛みが強く感じられます。
筋肉には毛細血管やリンパ管が多く、薬液の吸収が速いため、筋肉注射は皮下注射の2倍の速度で薬液を浸透させることが可能です。

即効性が必要な場合は静脈注射が選ばれますが、持続性を求める場合は筋肉注射が適しています。
特に粘度が高い薬液や油性の薬剤は、血管内に直接投与できないため、筋肉注射が選ばれます。
また、筋肉注射は多量の薬液を投与できるため、作用が強く、その分体にかかる負担も大きいです。
注射方法のメリットやリスクを理解し、自分に合った方法を選びましょう。
痛い不妊治療を軽減する方法3選
痛い不妊治療でも子どもを授かるためには重要な治療です。
ここでは、できる限り痛みを和らげる方法として、以下の3つを紹介します。
- 細い採卵針を使用する
- 採卵後は安静にする
- 胚移植用のカテーテルを使用する
体調の変化や負担の度合いを医師に伝えながら、不妊治療を進めていきましょう。
細い採卵針を使用する
細い採卵針を使用すると、採卵時やその後の痛みが軽減されます。
なぜなら、細い針を使うことで腟壁や卵巣からの出血が少なくなるためです。
しかし、極端に細い針を使って吸引圧を高くすると、卵子にダメージを与えるリスクがあります。
採卵で重要なのは、卵子にダメージを与えないようにすることです。
細い採卵針を活用しながら、母体と卵子への負担を抑えながら採卵を進めましょう。
採卵後は安静にする
採卵後は、安静にすることが大切です。
局所麻酔を使用した場合は約1時間、静脈麻酔を使用した場合は約2時間ほど休憩しましょう。
この安静時間を設けることで、体を回復させ、痛みを軽減する効果があります。
安静にしている間に体に不調を感じた場合は、すぐに医師に相談しましょう。
胚移植用のカテーテルを使用する
胚移植の際に痛みを減らすためには、柔らかい胚移植用カテーテルを使用し、子宮の筋肉を収縮させないことが重要です。
カテーテルを挿入する際には、経腹超音波で先端を確認しながら、慎重に子宮腔内に進めます。
経腹超音波検査用のプローブとクスコで子宮の角度を調整しながら、慎重にカテーテルを挿入することで、痛みを最小限にしましょう。
痛い自己注射を軽減する方法
痛みとは、皮膚にある痛点への刺激が大脳皮質に伝わることで感じる感覚です。
この痛点は全身に均等に分布しているため、針を刺す痛み自体は注射部位による差がほとんどありません。
しかし、薬液を注入した後の持続的な痛みは、脂肪の厚い場所に注射することで軽減されます。
他にも、自己注射の痛みを軽減する方法として、以下があります。
- 注射液を常温に戻してから注射する
- 注射部位を冷やす、または温めてから注射する
- 注射部位を強くつまんでから注射する
- 深呼吸の息を吐くタイミングで針を刺す
また、同じ場所に何度も注射すると皮膚が硬くなったり炎症が起きて痛みが増すため、注射部位を変えることを心がけましょう。
不妊治療で辛いのは痛いことだけじゃない
不妊治療の痛みに関する悩み以上に、ゴールが見えず強い不安に苛まれることが多いです。
「長く治療しているのに結果が出ない」「友達が妊娠しても素直に喜べない」といった悩みで、気持ちが沈み、うつ症状が現れることもあります。
不妊治療による不安を和らげるためには、遠慮なく話せる場所を見つけることが大切です。
痛みだけではなく、心の状態を医師に相談するようにしましょう。
不妊治療の痛みに関するよくある質問
不妊治療時のエコーは痛い?
不妊治療の際に行われるエコーは、一般的には痛みを伴わない検査です。
エコー検査には以下の2種類があります。
- 腹部エコー
- 経腟エコー
腹部エコーでは、ゼリーを塗ったプローブを腹部に当てて行います。
この方法は痛みを感じることはほとんどありません。
一方、経腟エコーはプローブを腟内に挿入して行います。
この方法も一般的には痛みを伴いませんが、不快感や圧迫感を感じることがあるかもしれません。
プローブは細く滑らかで、医師や技師が慎重に操作するため、痛みを感じることは少ないです。
エコー検査で不安や不快感がある場合は、遠慮せずに医師や技師に相談してください。
検査の進め方を調整したり、リラックスするための方法を提案してくれることがあります。
おしりに注射するのは痛い?
おしりに注射する際の痛みは、個人差がありますが、針を刺す瞬間や薬液を注入する時に感じることがあります。
針の刺入時には一時的な痛みがあり、薬液の注入時には圧迫感や鈍い痛みを感じることが多いです。
痛みを軽減するためには、まずリラックスすることが大切です。
深呼吸して筋肉を緩めると痛みが和らぎます。
また、注射部位を冷やすことで痛みを感じにくくすることが可能です。
注射後に軽くマッサージをすることも、薬液の広がりを促し、痛みを軽減するのに役立ちます。
おしりへの注射は、筋肉が豊富なため薬液の吸収が良く、比較的安全な方法です。
痛みや不快感がある場合は、医師や看護師に相談しましょう。
採卵と卵管造影はどっちが痛い?
採卵は麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんど感じません。
しかし、麻酔が切れた後に卵巣が腫れて痛みを感じることがあります。
卵管造影検査は、子宮に造影剤を注入する際の圧迫感や痛みがあります。
特に卵管が詰まっている場合は、痛みが強くなることがあります。
どちらも痛みはありますが、採卵は麻酔によって軽減される一方、卵管造影は圧迫感のある痛みを伴います。
どちらが痛いかは個人によりますので、心配な場合は医師に相談しましょう。
不妊治療の注射は痛い?
不妊治療の中でも、多くの人が辛いと感じるのが筋肉注射です。
筋肉注射は、腕や太腿、おしりなどの筋肉に深く垂直に刺して薬液を投与します。
これは皮下注射や静脈注射と異なり、針を深く刺すため痛みを感じやすいです。
筋肉注射は薬液の吸収が早く、効果が持続しやすいというメリットがありますが、深い刺入と薬液の圧迫感が痛みの原因となります。
採卵はどこに針をさすの?
採卵は経腟から行うため、お腹に傷がつくことはありません。
経腟超音波に付いたガイドを通して針を挿入し、超音波で卵巣内の卵子の位置を確認しながら針を刺します。
この針を刺す際に痛みが生じるため、採卵時には麻酔の使用を選択できます。
採卵時は麻酔してくれる?
医院によって、局所麻酔や静脈麻酔を使用したり、無麻酔で行ったりする場合があります。
無麻酔の場合、採卵前に座薬などの痛み止めを使用して痛みを抑えることがあります。
局所麻酔で行う際に痛みが強い場合は、採卵中に静脈麻酔に変更することも可能です。
痛い不妊治療は医師に相談しながら和らげよう!
不妊治療には痛みを伴う検査や手術がいくつかあります。
採卵や卵管造影、筋肉注射などは多くの方が痛みを感じやすいです。
しかし、麻酔の使用や注射部位を冷やすなどの対策を取ることで、痛みを和らげることが可能です。
不安や痛みを感じた場合は、遠慮せずに医師に相談し、自分に合った方法で治療を進めることが大切です。
医師と協力しながら、できるだけ快適に不妊治療を続けましょう。