タイミング法による不妊治療は誰が対象?流れや費用を徹底解説!

 
 

タイミング法による不妊治療って、私たちには効果があるのかな?

 
 

病院に頼らずともタイミング法は試せる?

タイミング法に関して、このようなお悩みをお持ちではありませんか?

不妊治療の1つであるタイミング法は、自然妊娠に近い手段として知られ、経済的・身体的な負荷が比較的軽いのが特徴です。

病院に通わずにタイミング法を実践することは可能ですが、タイミング法の対象にならない方もいるので注意が必要です。

この記事では、タイミング法における不妊治療の方法や実施の流れ、必要となる費用について解説します。

また、成功率を高めるためのポイントもあわせて紹介するので、不妊治療を実践する際の参考にしてください。

この記事でわかること
  • タイミング法の特徴
  • タイミング法による不妊治療の流れ
  • 不妊治療が対象となるカップルの特徴
  • 自宅でタイミング法を実施する方法
  • タイミング法の成功率を上げる方法

この記事の監修者

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阿部 一也医師

所属団体: 日本産婦人科学会

保有資格: 医師国家資格

医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

不妊治療「タイミング法」とは

基礎体温

タイミング法とは、排卵期間に合わせた性交により、自然に妊娠の可能性を高める不妊治療です。

ここでは、タイミング法の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

タイミング法の特徴

タイミング法は、不妊治療の入門とも呼ばれる基礎的な手段であり、多くのカップルにとって第一の選択肢となっています。

排卵のタイミングを見極め、その最適な期間内での性交を通じて、受精の確率を上げることができる特徴があります。

排卵は平均的に月経周期の中盤、具体的には14日前後に起こることが多いです。

ただし、個人差があるため、あなたの周期を正確に知ることが大切です。

タイミング法によって、排卵日前3日から排卵日後1日の間に性交を行うことで、最も妊娠しやすい環境を整えることを目指しましょう。

メリット

不妊治療としてタイミング法を実践するメリットは、以下の3つです。

  • 受精可能性の向上
  • 手軽に自宅で実施可能
  • 費用効率の良さ

タイミング法の最大の魅力は、自然に妊娠するチャンスを高めることが挙げられます。

排卵期間を狙って性交することで、受精しやすくなる状況を作り出します。

特に、自然な妊娠を希望するカップルにとっては、試しやすい選択肢です。

さらに、タイミング法の手軽さも大きなメリットです。

自宅で、自分の月経周期を記録するだけで実施でき、特別な技術や知識を必要としません。

カップルの日常生活として組み込むことが可能で、ストレスフリーに取り組める点も魅力的です。

加えて、タイミング法は経済的な負担が少ないメリットがあります。

タイミング法は、排卵予測キットや基礎体温計を使って自分の生理周期を理解し、適切なタイミングで性交することが基本です。

不妊治療にかかる高額な費用が負担となっている多くのカップルにとって、この方法は経済的にも優しい選択といえるでしょう。

タイミング法は自然に妊娠を望むカップルにとって、実行しやすい不妊治療であるといえます。

デメリット

不妊治療としてタイミング法を実施するデメリットは、以下の3つです。

  • 妊娠への成功確率の変動
  • 日常生活への影響
  • 心理的ストレス

タイミング法は、排卵期に合わせた性交を通じて妊娠の確率を高める方法です。

しかし、タイミング法の成果は排卵日の特定の正確性や精子の質などに左右されるため、成功率には個人差が存在します。

誤ったタイミングでの性交や、精子が卵子に到達しないケースでは、妊娠に至らない可能性が高いです。

加えて、性交のタイミングを月経周期に合わせる必要があるため、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

性交のスケジューリングが難しい場合に伴うストレスや、生理痛や周期の不規則性による不快感が生じる可能性があります。

タイミング法を適用する際には、十分なコミュニケーションとお互いへの理解が大切です。

さらに、心理的な負担も見逃せません。

妊娠を望むものの成就しない場合、失望やストレスを感じやすく、性交のタイミングを追うこと自体がプレッシャーとなります。

これらのデメリットを踏まえると、タイミング法は実践しやすい不妊治療法ですが、適切な対応策とサポート体制を心がけましょう。

タイミング法による不妊治療の流れ

ここからは、実際にタイミング法による不妊治療を実施する流れを紹介します。

  1. 排卵日を想定する
  2. 超音波検査を受ける
  3. 尿中LHを確認する
  4. 排卵日に合わせて性交渉を行う
  5. 必要に応じて検査を行う

成功率を上げるための病院での検査内容についても紹介するので、詳しく確認してみましょう。

排卵日を想定する

タイミング法を用いた不妊治療では、基礎体温や排卵検査薬を用いて排卵日を想定します。

月経周期は個人によって異なるため、あなた自身の排卵日を知ることが大切です。

排卵期間を正確に特定することにより、タイミング法を成功させるための最適な性交のタイミングを見定めることができます。

自然妊娠の可能性を高めるための不妊治療を成功させるためにも、基礎体温や排卵検査薬を活用してみましょう。

それぞれの実施の仕方は後に詳しく解説します。

超音波検査を受ける

超音波検査を病院で受けることで、より正確な排卵日を把握できます。

より正確な排卵日を知るために、排卵が予想される時期に医療施設を訪れ、超音波検査を通じて卵胞の成長を確認しましょう。

超音波検査では卵胞が日々どのように成熟しているかを観察し、卵胞が18〜22mmの大きさになると、排卵が行われると判断されます。

検査を受けることで、排卵までの日数を正確に予測し、性交の最適なタイミングのアドバイスを受けることが可能です。

尿中LHを確認する

超音波検査による排卵期間を確認後は、排卵が間近に迫った時点で尿検査を実施し、尿中の黄体形成ホルモン(LH)の濃度を測定します。

尿中LH濃度は、排卵の約10-12時間前に最高値を記録します。

LHサージ(急激な増加)を捉えることで、排卵日をより正確に予測することが可能です。

尿中LHの確認は基礎体温や排卵検査薬、超音波検査などの他の排卵予測手段と組み合わせることで、不妊治療の効果をより高めます。

排卵日にあわせて性交渉を行う

タイミング法で最も大切なのは、予測される排卵日に性交渉を行うことです。

医師が検査結果をもとに判断した最適な日に、性交渉を行いましょう。

正確な排卵日に性交渉を実施することで、受精の可能性を高めることができます。

必要に応じて検査を行う

排卵の確認やその後の体内変化を正確に把握するためには、さらなる検査が必要になる場合があります。

排卵後に行われる検査としては、超音波検査があります。

超音波検査を実施することで、実際に排卵が起こったかを確認しましょう。

また、排卵に伴うホルモンの変化を確認するため、血液検査を実施することがあります。

血液検査は、妊娠の可能性を高めるために適切な体内環境が整っているかどうかを判断するために大切です。

排卵後の検査は、タイミング法による不妊治療において、カップルの妊娠成功率を向上させるための重要な役割を果たします。

タイミング法での排卵日の見極め方

基礎体温と薬

自宅でできる排卵日の見極め方として、以下の2つがあります。

  • 基礎体温法
  • 排卵検査薬

それぞれどのように実施し、判断するのかを詳しく解説します。

基礎体温法

基礎体温は、タイミング法における排卵日の特定のための1つの手段です。

基礎体温法では、毎日朝起きた直後に体温を計測し、これらの測定値を日々記録します。

黄体ホルモンの作用によって、以下のように排卵前後で体温に微細な変化がみられます。

排卵日の判断基準は、基礎体温が0.2℃から0.5℃ほど上昇するタイミングです。

しかし、体温の変動には個人差があり、正確に把握するには数ヶ月にわたる記録が必要になります。

長期間にわたる基礎体温の観察を通じて、月経周期のリズムを理解することが、タイミング法を用いた不妊治療の成功につながります。

排卵検査薬

排卵検査薬は、尿中の黄体形成ホルモン(LH)の増加を検出することで、排卵日を判断する薬です。

LHは排卵の約40時間前にピークに達するため、その濃度が高まると排卵が間近であることを指します。

排卵検査薬の使用方法は、指定された時間帯に尿を採取します。

そして、数分後にテストスティックに示される検査結果を確認しましょう。

LHの濃度をもとに排卵日を推測し、その情報をもとに性交渉の最適なタイミングを計画することができます。

タイミング法による不妊治療が対象となるカップルの特徴

カップル

タイミング法による不妊治療が対象のカップルの特徴は、以下の3つです。

  • 排卵がある
  • 精液検査結果に問題がない
  • 自然妊娠ができる

これらにあてはまるカップルは、タイミング法を試してみましょう。

排卵がある

タイミング法による不妊治療をするために大切なのは、排卵の有無です。排卵が正常に行われている場合、タイミング法は有効な不妊治療法となります。逆に排卵障害の場合は、障害の程度によって治療法が異なります。軽度の排卵障害がある場合は、タイミング法を試みることが可能です。

しかし、重度の障害がある場合は、体外受精のような高度生殖補助技術が推奨されることがあります。このため、タイミング法を検討しているカップルは、まず自分達の排卵状況を理解することが大切です。

医師の診断を通じて、自分たちの状況に最も適した治療法を選択しましょう。

精液検査結果に問題がない

タイミング法を実施する条件の1つは、精液検査で異常が認められないことです。

軽度の男性不妊症であれば、サプリメントの摂取や医薬品の使用により改善が見込まれるため、タイミング法を通じて妊娠が望めます。

しかし、男性不妊症が重度の場合は、タイミング法のみでは解決が難しいです。

したがって、タイミング法を検討しているカップルは、男性側も精液検査を受け、その結果をもとに治療の方向性を決定することが大切です。

自然妊娠ができる

タイミング法は、男性と女性の双方に自然妊娠の能力が認められる場合に適しています。

女性の場合には、たとえ排卵が正常であっても、卵管が詰まったり(閉塞)、狭くなったり(狭窄)などの問題があると自然妊娠は困難です。

このような状況では、妊娠に至るためには手術などの追加的な医療介入が必要となることがあります。

タイミング法は、体内で自然な受精が見込まれるカップルに対して、妊娠の機会を高めるためのサポートです。

そのため、治療前には両方のパートナーが適切な医療検査を受け、自然妊娠の可能性があることを確認しましょう。

不妊治療「タイミング法」の費用の目安

産婦人科に通う女性

タイミング法に関わる一周期の費用の目安は、約7,000円です。

具体的な時期別の検査内容と費用は以下の表のとおりです。

時期検査内容費用(保険適用)
生理3~4日目診察、検査、薬代約3,500円
生理10~12日目診察、超音波検査約1,800円
生理16~23日目診察、超音波検査約1,800円

この費用は保険適用の場合の目安であり、個人によって必要な検査や通院回数が異なるため、実際の費用は変動します。

初期の段階ではホルモン検査や排卵誘発剤の処方を含み、排卵期には超音波検査で排卵の確認が必要です。

また、排卵後の診察では、排卵確認や必要に応じて黄体補充薬の処方を行うこともあります。

これらの情報をもとに、タイミング法の費用計画を立てましょう。

不妊治療「タイミング法」の成功率は約5%

基礎体温を記録する

タイミング法の成功率は、カップルによって異なり、以下のような多くの要因に左右されます。

  • 年齢
  • 健康状態
  • 生活スタイル
  • 排卵日の特定の精度

妊娠の可能性が比較的高いカップルの場合、タイミング法を用いた場合の妊娠率は1周期につき約16〜18%です。

一方で、不妊の問題を抱えるカップルの場合、成功率は約5%に低下します。

さらに30代後半や40代では、この確率はさらに減少します。

年齢や健康状態に応じた成功率を知っておくことで、治療過程での精神的な負担を軽減し、長期的な視点で不妊治療に臨みましょう。

タイミング法による不妊治療の成功率を上げる3つの方法

カップル

成功率が約5%のタイミング法ですが、以下を意識することで成功率を上げられます。

  • 身体を冷やさない
  • ストレスをためない
  • 栄養管理を心がける

これらは不妊治療のためだけではなく、健康状態を維持するためにも大切なので、意識しながら日常を過ごしましょう。

身体を冷やさない

不妊治療の成功率を向上させるためには、体を適温に保つことが大切です。

なぜなら、体温が低下すると血流が悪くなり、それが卵巣機能の不全を招く可能性があるからです。

身体を温め、血流を良好に保つためには、以下を意識しましょう。

  • 腹部を腹巻などで温める
  • 38~40度の温かいお風呂に入浴する
  • 温かい飲み物を定期的に飲む
  • 定期的な有酸素運動を行う

適切な体温管理は、健康的な卵巣機能の維持と妊娠に至る確率の向上に役立つため、不妊治療を進める上で意識しましょう。

ストレスをためない

ストレスをためることは、ホルモンバランスの乱れや排卵障害の原因の1つです。

そのため、以下のようなストレスを軽減するための習慣を身につけることも、タイミング法の成功率を向上させるのに役立ちます。

  • SNSから一時的に距離を置く
  • 不満やイライラを紙に書き出す
  • 15分程度のウォーキングを行う
  • 定期的に趣味を楽しむ

不妊治療を進める過程では、感情的な波が大きくなりがちです。

そのため、日常的にストレスを発散し、心身のバランスを保つことを意識しましょう。

栄養管理を心がける

妊活中に摂ってほしい栄養素

タンパク質は、卵子や精子の発育に不可欠な役割を果たします。

細胞の成長や代謝を支える酵素の構成要素であるため、タンパク質の摂取不足は妊娠確率を下げる原因になります。

不妊治療中の多くの人に代謝機能の低下がみられることから、栄養管理は重要です。

タイミング法の成功率を上げるためにも、以下の食材を積極的に取り入れましょう。

  • 大豆製品
  • 豚肉の赤身
  • 青魚ナッツ類

また、サプリメントや医薬品を通じて摂取することが望ましい栄養素もあります。

特にビタミンDは卵の成熟を促し、着床率や妊娠率を高める効果があります。

亜鉛不足は男性の精巣機能に悪影響を及ぼすため、適切な量の亜鉛を摂ることも大切です。

タイミング法による不妊治療の成功率を向上させるためには、これらの栄養素をバランス良く取り入れましょう。

タイミング法に関するよくある質問

タイミング法は自分でできますか?

タイミング法は、自宅で実践可能な不妊治療法です。

排卵日を自分たちで予測し、適切なタイミングで性交渉を持つことは、不妊治療として最初に試しやすい方法です。

タイミング法は妊活をスタートさせる際に、物理的・経済的な負担を最小限に抑えることができます。

タイミング法は平均何回目で成功する?

タイミング法を用いた不妊治療では、多くのカップルが最初の6サイクル(約6ヶ月)内に妊娠を達成しています。

この期間を超えても妊娠に至らない場合、成功の確率は徐々に低下し、タイミング法だけでは妊娠が難しくなることが一般的です。

そのため、6回の試みの後も妊娠に至らないカップルには、人工授精のような別の治療法への移行を検討しましょう。

タイミング法で病院に行くタイミングは?

タイミング法での最初の病院への訪問は、生理周期の10〜11日目に行います。

このタイミングでは、超音波検査を用いて卵胞の大きさを測定します。

卵胞は1日1-2mmほど大きくなり、卵胞が14〜15mmに達すると排卵が近いことを示すため、その2日後に再度病院を訪れることが一般的です。

タイミング法による不妊治療をするために、生理周期を把握しよう!

タイミング法は、自然に妊娠のチャンスを高めるための治療法です。

自分たちで生理周期を確認することができるので、まずは基礎体温法や排卵検査薬を試してみましょう。

不妊治療は精神的・金銭的に大きな負担を伴いますが、自分達に最も合った治療方法を選ぶことで、成功の可能性を高めることが可能です。

パートナーと協力し合いながら、不妊治療を進めていきましょう。

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