妊活中の葉酸の効果は?葉酸不足や過剰摂取のリスクを徹底解説!

妊活中は葉酸を取るべき?

何を食べれば葉酸を摂取できるの?

妊活を成功させるためにも、葉酸の摂取が重要であることを知っている女性も多いでしょう。

産院でも葉酸の摂取を推奨しており、葉酸サプリメントを利用する方も増えています。

特に妊娠初期は葉酸が必要とされるため、妊娠前からの摂取が理想的です。

この記事では妊活中の葉酸の効果や葉酸が不足するリスク、葉酸の1日の摂取量について詳しく見ていきます。

健康な赤ちゃんを授かるためにも、ストレスなく葉酸を摂取しましょう。

この記事でわかること
  • 妊活中の葉酸の効果
  • 葉酸が不足するリスク
  • 葉酸の1日の摂取量
  • 葉酸の過剰摂取によるリスク
  • 葉酸の摂取方法

この記事の監修者

Profile Image

阿部 一也医師

所属団体: 日本産婦人科学会

保有資格: 医師国家資格

医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。

妊活中にうれしい葉酸の効果は?

食事をする女性

葉酸はビタミンBの一種で、細胞分裂やDNA合成に欠かせない栄養素です。

また、赤血球の生成にも役立ち、貧血予防にも効果があります。

特に妊婦にとっては胎児の成長に不可欠な栄養素です。

葉酸は遺伝情報を受け継がせたり、胎児の体を形成したりする重要な役割を果たします。

妊娠前から適切に摂取することで、胎児の脳や脊髄の発達異常である神経管閉鎖障害のリスクを低減することができます。

葉酸を適切に摂取することで、赤ちゃんと母体の健康を守りましょう。

葉酸には2種類ある!

食事をする女性

葉酸には以下の2種類があります。

  • 天然葉酸
  • 合成葉酸

それぞれの特徴や違いを確認してみましょう。

天然葉酸

天然葉酸はポリグルタミン酸型葉酸とも呼ばれ、緑黄色野菜や豆類、果物などの食品から摂取することができます。

これらの食品に含まれる葉酸は、体内で効率よく吸収されますが、水溶性ビタミンであるため、加熱調理によって失われやすいのが特徴です。

具体的には、調理による加熱で約50%の葉酸が失われるとされています。

また、天然葉酸の体内での吸収率も約50%とされており、食事だけで十分な量を摂取するのは難しいのが現状です。

たとえば、ほうれん草やブロッコリーなどの葉酸を豊富に含む野菜を毎日摂取することが推奨されますが、必要量を満たすのは容易ではありません。

食品からの摂取だけでは不足しがちなため、必要に応じてサプリメントの使用も検討すると良いでしょう。

天然葉酸と合成葉酸の吸収率の違い

合成葉酸

合成葉酸はサプリメントや強化食品に含まれている形の葉酸で、体内で直接利用できる形状になっています。

このため、吸収率が高く、必要な量を確実に摂取できるのが特徴です。

具体的には、合成葉酸の吸収率は約85%とされており、効率的に体内に取り込まれます。

しかし、過剰摂取には注意が必要です。

特に妊娠中や授乳中の女性は、医師の指導のもとで適切な量を摂取することが推奨されています。

合成葉酸は体内での吸収効率が高いですが、大量に摂取すると蓄積される可能性があります。

このため、一度に大量に摂取するのではなく、適切な量を守ることを心がけましょう。

妊活をはじめてすぐに葉酸を摂取しよう

食事をするカップル

妊娠を望む人は、妊活を始めたらすぐに葉酸を摂取することをおすすめします。

なぜなら、赤ちゃんの神経系は妊娠初期から形成され始め、先天異常は妊娠7週目までに起こる可能性があるからです。

妊娠が判明する頃には既にこの時期に入っているため、早めに葉酸を摂取することが重要です。

妊娠がわかる前から葉酸を摂り始め、その後も妊娠後期まで継続して摂取することを心がけましょう。

継続的な葉酸の摂取で、赤ちゃんの健康な発育をサポートできます。

妊活中の葉酸不足によるリスク

悩む女性

赤ちゃんと母体の健康を守るためには、葉酸の摂取は不可欠です。

もし、葉酸不足に陥ると、以下のリスクに陥る可能性があります。

  • 神経管閉鎖障害
  • 早産
  • 貧血

それぞれどのような危険があるかを詳しく解説します。

神経管閉鎖障害

葉酸不足で最も重大なリスクは神経管閉鎖障害です。

神経管とは、脳や脊髄のもととなる管状の器官で、初めは板状の形をしており、徐々にくびれて最終的に管状になります。

神経管の形成過程で葉酸が不足すると、正常に管が形成されず神経管閉鎖障害が発生するのです。

背骨が正しく形成されない場合は「二分脊椎」、頭蓋骨の一部が欠けると「脳瘤」と呼ばれる状態になります。

ただし、神経管閉鎖障害は葉酸不足だけでなく、他の要因も関与することがあります。

したがって、妊活中は葉酸を十分に摂取することを心がけましょう。

早産

早産の半数以上は、母体の健康を守るための治療として行われます。

具体的には、妊娠高血圧腎症や胎盤早期剥離、胎児発育不全などの合併症が原因で早産が必要になることがあります

これらの合併症を防ぐためには、予防が重要です。

近年の研究では、葉酸を含むマルチビタミンやDHA、EPAなどが早産や胎盤関連合併症(PMPC)のリスクを減らす可能性が示されています。

特に、過去に胎盤関連の合併症を経験した方は、次の妊娠時にリスクが高まるため、葉酸の補充が推奨されます。

葉酸を十分に摂取し、かかりつけの婦人科医の指導を受けましょう。

貧血

葉酸はビタミンB12とともに赤血球の生成をサポートします。

そのため、葉酸が不足すると赤血球が正常に作られず、「巨赤芽球性貧血」のリスクが高まります。

赤ちゃんはへその緒を通じて母体から栄養を受け取るため、母体が貧血になると栄養供給が滞り、赤ちゃんの成長に悪影響を及ぼします。

妊娠中は赤ちゃんに送る血液量が増えることで、母体は貧血になりやすいため、妊活中から十分な量の葉酸を摂取することを心がけましょう。

厚生労働省が推奨!妊活中や妊娠中に必要な葉酸の一日摂取量

診察する医師

厚生労働省は、妊活中や妊娠中の女性に対して、必要な葉酸の摂取量を推奨しています。

通常、成人男女は毎日200〜400μgの葉酸必要ですが、妊婦や妊娠を考えている女性や授乳中の方は、それぞれ追加で葉酸を摂取する必要があります。

具体的な推奨量を紹介します。

状況推奨追加摂取量
妊活中、妊娠前+400μg
妊娠中+240μg
授乳中+100μg

令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、妊婦や授乳婦の平均的な葉酸摂取量は200〜300μg程度にとどまっており、推奨量に達していない場合が多いです。

そのため、意識的に葉酸を摂取することが重要です。

ただし、過去に神経管閉鎖障害をもつ子どもを出産した方や、てんかんや片頭痛、リウマチの薬などを服用している方は、葉酸の必要量が増えるため、主治医の指導に従いましょう。

葉酸は妊活中の男性にも効果がある?

料理をするカップル

葉酸は妊婦だけでなく、全ての人の成長に必要な栄養素です。

18歳以上の男性・女性の1日の葉酸摂取推奨量は240μgとされています。

そのため、妊活中の男性にとっても、葉酸は体調を整えるために重要です。

葉酸をしっかり摂取することで、健康な精子の生成をサポートし、妊娠の成功率を高めましょう。

妊活中に葉酸を摂りすぎても大丈夫?

説明する医者

葉酸を積極的に摂取するよう推奨されていますが、過剰摂取を心配する方もいるかもしれません。

葉酸は水溶性ビタミンで、必要以上に摂取しても尿として排出されるため、体内に蓄積されません。

そのため、過剰摂取についてはそれほど心配する必要はないです。

しかし、1日に1000μg以上の摂取は避けるべきです。

葉酸には貧血を改善する効果がありますが、過剰摂取するとビタミンB12不足による貧血が見逃されるリスクがあります。

適量を守り、バランスの取れた摂取を心がけましょう。

妊活中は葉酸を含む食べ物を積極的に食べよう!

なっとう

赤ちゃんや母体の健康のためにも、葉酸を多く含む食べ物を積極的に摂取しましょう。

葉酸を摂取する際におすすめの食べ物を紹介します。

好きなものや体調に合ったものを、ストレスなく取り入れてみましょう。

  • 玄米
  • 納豆
  • さつまいも
  • ブロッコリー
  • アボカド
  • いちご

白米を玄米に替えたり、サラダにアボカドやブロッコリーを加えるなど、少しの工夫で葉酸の摂取量を増やすことができます。

葉酸は熱に弱いので、効率よく摂取したい場合は加熱せずに生で食べられる食材を選びましょう。

食事とサプリで効率よく葉酸を摂取しよう!

葉酸を食事から十分に摂取するのは難しいことがあります。

特に妊娠中はつわりなどで食欲が減退し、計画的な食事が難しいです。

そのため、サプリを活用して手軽に葉酸を摂取する方法を検討しましょう。

サプリは適切な量を含むものを選ぶことが重要です。

成人女性は食事から約200μgの葉酸を摂取しているため、妊活中や妊娠中はさらに400μgをサプリで補うのが理想的です。

厚生労働省や産婦人科学会は1日1000μg以上の摂取を推奨していないため、サプリでの摂取量は800μgを超えないように注意しましょう。

葉酸サプリの選び方

サプリ選びでは、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

匂いが強いものや、つわり中に飲みにくいものは避けましょう。

価格が高すぎるものは家計に負担がかかるため、続けやすい価格帯のものを選んでください。

また、ビタミンA、B、C、D、EやDHA、EPAが含まれた総合的なサプリは、つわりの緩和や妊娠中の健康維持に役立つ可能性があります。

鉄分を多く必要とする妊娠中には、鉄分を含むサプリもおすすめです。

高価なサプリや多くの成分が含まれたものが、必ずしも良いわけではありません。

必要な栄養素が適切な量で含まれているか、自分にとって続けやすいかに着目してサプリを選びましょう。

妊活と葉酸に関するよくある質問

  1. 葉酸を摂ると妊娠しやすい?
  2. 妊活中はいつから葉酸を摂取すべき?
  3. なぜ妊活に葉酸サプリが推奨されるの? 
  4. 葉酸が着床を助けるって本当?

葉酸を摂ると妊娠しやすい?

葉酸は栄養素の1つであり、直接的に妊娠を促進するものではありません。

しかし、妊活中に重要とされているため「葉酸を摂ると妊娠しやすくなる」と誤解されることがあります。

葉酸は母体の栄養バランスを整え、胎児の成長をサポートするために必要です。

妊娠を希望する場合、生活習慣や食事のバランスを見直し、健康的な生活を心がけることが大切です。

妊活中はいつから葉酸を摂取すべき?

妊娠を希望する方の中には「妊娠がわかったら葉酸サプリメントを摂取しよう」と考える人もいるかもしれません。

しかし、厚生労働省は妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの期間、食事から1日240µgの葉酸に加え、サプリメントから1日400µgの葉酸摂取を推奨しています。

つまり、妊娠を計画する1ヶ月以上前からの葉酸摂取が重要です。

実際にいつ妊娠するかは予測できないため、妊娠を考えた時点から葉酸サプリメントを摂取することを心がけましょう。

なぜ妊活に葉酸サプリが推奨されるの? 

葉酸はビタミンB群の一種で、細胞の増殖や臓器の形成をサポートする重要な栄養素です。

特に妊娠中は胎児の健全な成長に不可欠です。

厚生労働省は、通常の食事に加えサプリメントを活用して1日400μgの葉酸を摂取することを推奨しています。

また、妊娠中期および後期の女性には1日480μg、授乳中の女性には1日340μgが推奨されています。

しかし、30歳未満の女性の平均的な葉酸摂取量は300μg未満であり、推奨量に達していないことが多いです。

そのため、不足分を葉酸サプリで摂取する必要があります。

葉酸が着床を助けるって本当?

葉酸は細胞分裂をスムーズにし、子宮内膜の健康をサポートする役割があります。

そのため、受精卵が着床しやすい環境作りに貢献することが期待されます。

ただし、葉酸が直接的に子宮内膜を厚くしたり、着床率を上げたりするわけではありません。

葉酸はあくまでサポート役としての働きです。

妊活中はリスクに備えて、食事やサプリで葉酸を摂取しよう!

葉酸の重要性や効果的な摂取方法について解説しました。

妊娠を考え始めたら、授乳期間が終わるまで、通常の摂取量に加えて1日400μgの葉酸を多めに摂ることを心がけましょう。

適切な葉酸摂取により、赤ちゃんや母体の健康を守り、神経管閉鎖障害や早産のリスクを減らすことが期待できます。

サプリを利用する際は、過剰摂取にならないように使用量を守ることが大切です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール