
男性不妊になりやすい人の特徴を知りたい

男性不妊の原因や治療法を知りたい
男性不妊について、このような悩みをお持ちではありませんか?
不妊の原因は、女性だけではありません。
WHOの調査によると不妊の原因が男性側にある場合が、24%です。
男性不妊はさまざまな要因によって引き起こされるため、対処法を見つけるには精密な診断が必要です。
しかし、不妊になりやすい人の特徴を理解しているだけで、診察を受けるきっかけになります。
この記事では、男性不妊になりやすい人の特徴や原因、治療法について解説します。
妊活をスムーズに進めるためにも、男性不妊の可能性も視野に入れておきましょう。
- 男性不妊になりやすい人の特徴
- 男性不妊の原因
- 男性不妊の割合
- 男性不妊の治療法
- 男性不妊治療に利用できる保険
この記事の監修者
男性不妊になりやすい人の特徴9選
男性不妊になりやすい人の特徴として、以下の9つを紹介します。
- 睾丸に特徴がある
- 精液に特徴がある
- 病歴がある
- 生活習慣の乱れ
- サウナや長風呂が好き
- 長時間同じ姿勢でいる
- 肥満である
- 運動不足である
- ストレスが溜まっている
これらは不妊の原因になるだけではなく、そのほかの病気を引き起こす可能性もあるため、改善するように心がけましょう。
睾丸に特徴がある
睾丸の大きさや形が通常と異なる場合、精子の質や量に影響を及ぼすことがあります。
このような変化は、潜在的な健康問題を抱えている可能性があるため、早期の検査が推奨されます。
適切な診断を受けることで、治療の選択肢が広がり、不妊の問題に効果的に対処可能です。
異常を感じたら速やかに専門医を訪れるようにしましょう。
精液に特徴がある
精液の量や透明度が普通と異なる場合、男性不妊のサインかもしれません。
たとえば、精液が少ない、または色が薄く濁りが少ない状態には注意しましょう。
これらは精子の数や活動性に問題がある可能性があります。
精液に異常がみられる場合は、精液検査を受けることが重要です。
適切な検査を通じて、精子の状態を正確に把握し、必要な治療へと進むことができます。
病歴がある
性不妊に影響を与える可能性がある病歴を紹介します。
- 鼠径ヘルニア
- おたふく風邪
- 副睾丸炎
- 前立腺炎
- がん
鼠径ヘルニアの手術を受けた場合、精子の通路が狭くなることがあります。
また、おたふく風邪や副睾丸炎、前立腺炎にかかった経験がある人は、これらの病気が睾丸や精子の健康に悪影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。
抗がん剤治療や放射線治療を受けたことがある人も、治療の影響で精子の生産が低下することがあります。
これらの病歴がある場合は、専門医に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
生活習慣の乱れ
男性不妊につながる可能性がある生活習慣を紹介します。
- バランスのとれていない食事
- 睡眠不足
- 運動不足
- 喫煙
- 過度のアルコール摂取
これらの習慣は、精子の形成や活動に直接影響を及ぼすことがあります。
精子の健康は、その形成に関わる約3ヶ月間の生活習慣に大きく左右されるため、日常生活での改善が求められます。
これらの習慣がある場合は、改善を図り、専門医に相談しましょう。
適切なアドバイスにより、生活の質を高めながら不妊問題にも対処できます。
サウナや長風呂が好き
精巣は通常、体温よりも2〜3度低い温度で最適に機能します。
そのため、高温に長時間さらされることは、精子の質に悪影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。
ただし、健康な精巣の造精機能が十分な場合は、サウナのような一時的な高温状態は、精子に大きな影響を与えないこともあります。
不妊を心配する方は、過度の高温状態を避けるようにしましょう。
精子の健康を守るためにも、サウナやお風呂の時間を見直すことをおすすめします。
長時間同じ姿勢でいる
デスクワークや長距離運転などで、腰や下半身に負担がかかると、精巣への血流が悪くなり、精子に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ノートパソコンを膝の上で使用することが精巣の温度を上昇させるとされることがあります。
しかし、実際にはデバイスの熱よりも、長時間の圧迫や体温上昇が問題となることが多いです。
そのため、定期的に立ち上がってストレッチを行い、血流を改善することを心がけましょう。
肥満である
体重が過剰になると、ホルモンバランスに影響を与え、精子の生成に必要な造精機能が低下することがあります。
これには糖尿病や心血管疾患など、他の健康問題が関連していることも多いです。
したがって、定期的な運動と健康的な食事は、体重管理だけでなく、全体的な生殖機能の健康を支えるためにも重要です。
適切な体重を維持することで、不妊につながるリスクを減らす助けになるでしょう。
運動不足である
適度な運動は体内の新陳代謝を活発にし、全身の血流を改善します。
この血流の改善は、健康的な精子を作るために重要です。
一方で、運動不足の状態が続くと、体の新陳代謝が低下し、それが精子の質に悪影響を及ぼすことがあります。
適度な運動を習慣にすることで、精子の健康を支え、不妊リスクを減らすことが可能です。
日常生活に適切な運動を取り入れ、健康的な生活を心がけましょう。
ストレスが溜まっている
ストレスは精子の質や量に悪影響を与えることが知られているので、定期的に発散することが重要です。
不妊治療を受けている方々は特に、ストレス解消法を見つけ、積極的に取り組むことを意識しましょう。
おすすめのストレスの解消法は以下です。
- ストレッチ
- 散歩
- 適度な運動
- ゲーム
- 読書
趣味の時間などを通じて、ストレスを効果的に管理することが、不妊問題の改善につながるでしょう。
日々の生活の中でストレスを感じたら、それを解消する方法を意識的に取り入れることが大切です。
そもそも男性不妊とは?
男性不妊とは、男性側に原因があるために妊娠が難しい状態を指します。
多くの場合、不妊の原因は女性側にのみあると思われがちですが、男性に問題がある場合も存在します。
世界保健機関(WHO)の調査によると、不妊症の原因の約24%は男性です。

そのため、妊活を進める場合は男性側の適切な検査と治療が不可欠です。
不妊に悩む夫婦は男性側も積極的に検査を受け、原因を明らかにしましょう。
男性不妊の原因
男性不妊の原因は、主に以下の3つに分類されます。
- 造精機能障害
- 精路通過障害
- 性機能障害
これらの原因を理解し、適切な診断と治療を受けることが、不妊問題の解決につながります。
それぞれ確認してみましょう。
造精機能障害
造精機能障害は、男性不妊の中でも特に一般的な原因です。
造精機能障害が生じると、精巣で精子が適切に生成されないか、または全く生成されない状態になります。
精子の生成過程には、精巣から始まり精巣上体を通過して成熟する段階が含まれますが、この過程のどこかで問題が発生すると、精子の数や運動性が不十分になります。
造精機能障害になる原因は、精索静脈瘤です。
精索静脈瘤は、精巣に近い血管が異常に拡張し、精巣の機能に影響を与える状態です。
治療可能な疾患であり、適切な治療により改善できます。
他にも、停留精巣やおたふく風邪後の睾丸炎、さらには染色体異常なども造精機能の障害を引き起こす原因として知られています。
精路通過障害
精路通過障害は、精巣で生成された精子が体外に排出される経路が何らかの理由で塞がれてしまうことにより生じます。
精子が適切に体外に出ることができなければ、妊娠を促すことができません。
精路通過障害の原因には、過去に行われた鼠径ヘルニアの手術や精巣上体炎などによる炎症、先天性で精管が両側とも欠損しているケースなどがあります。
これらの状況は精路を阻害し、精子の通過を妨げるため、精液中に精子が含まれなくなる可能性があります。
精路通過障害の診断と適切な治療が、男性不妊の解決には必要です。
性機能障害
性機能障害は、適切に勃起が維持できない勃起障害(ED)と、勃起は可能でも射精が困難な射精障害が含まれます。
性機能障害を持つ多くの男性は、精液検査やホルモンレベルが正常であるため、専門的な治療や指導によって自然妊娠が可能です。
勃起障害は心理的なプレッシャーが原因で、特に不妊治療の過程で性行為がストレスとなることがあります。
一方、射精障害の原因は、腟内での射精が困難な腟内射精障害や脊髄損傷、逆行性射精です。
逆行性射精は、精液が射精時に膀胱に逆流する状態で、糖尿病や泌尿器科手術が原因で生じます。
これらの問題は、適切な治療により改善することが期待できます。
男性不妊の割合
WHOの調査によると、不妊の原因は大きく4つに分類されます。
- 女性側に原因がある場合:41%
- 男性側に原因がある場合:24%
- 両方に原因がある場合:24%
- 原因不明:11%
このデータから明らかなように、男性不妊は一般に考えられているよりも頻繁に発生しています。
また、片方の問題だけでなく、カップル双方の健康が影響しているケースも少なくありません。
男性不妊の検査方法
男性不妊の主要な検査方法として、精液検査があります。
精液検査では精液の量や精子の数、運動率や形態を詳細に分析します。
初めての検査で標準以下の結果が出た場合は、再検査が推奨されます。
精子は自宅または医療機関で採取され、自宅で採取した場合、検査所への持ち込みは3時間以内が望ましいです。
精液の評価はWHOの定める以下の基準値に基づいて行われます。
- 精液量:1.4 ml以上
- 精子濃度:15,000,000/ml以上
- 総精子数:39,000,000/射精以上
- 総運動率:40%以上
- 正常精子形態率:4%以上
これらの数値は妊娠に必要な最低限の水準を示しており、これを満たしていれば妊娠の可能性があるとされます。
ただし、基準値を超えているからといって、確実に妊娠につながるわけではありません。
また、男性不妊の検査では、精液検査の他に触診やエコー検査、遺伝子検査やホルモン検査なども行われます。
これにより、不妊の原因をより正確に特定し、適切な治療を行うことが可能になります。
男性不妊の3つの治療方法
男性不妊が認められた場合は、不妊の原因にあわせて以下の3つの治療が行われます。
- 下垂体ゴナドトロピン療法
- クロミフェン法
- GnRH療法
それぞれどのような治療が行われるのかを確認してみましょう。
下垂体ゴナドトロピン療法
下垂体ゴナドトロピン療法は、ホルモン欠損が原因で精子生成が低下している低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に対して用いられます。
治療にはゴナドトロピンが補充され、これが精子の生成を促進します。
ゴナドトロピンは、特に強いFSH(卵胞刺激ホルモン)作用を持ち、精子生成を活性化させる役割を担います。
ただし、FSHは睾丸の委縮を引き起こす可能性があり、そのため長期的な使用は推奨されません。
また、女性化乳房などの副作用が発生する場合があり、これらの副作用が出た際には治療の中断が必要となることがあります。
効果的ではあるものの、慎重な経過観察が求められる治療法です。
クロミフェン法
クロミフェン法は、エストロゲン(前立腺がんを増殖させるテストステロンの分泌を抑制)の活動を抑えることで精子生成を促進する方法です。
この治療は、抗エストロゲン剤であるクロミフェンを使用し、間脳下垂体系の内分泌機能を正常化することを目的としています。
これにより、乏精子症や精子無力症などの状態が改善されることが期待されます。
治療は通常、1日に一錠の服用で行い、効果が現れるまでには4~6ヵヶ月必要です。
ただし、クロミフェンには女性ホルモン様作用もあるため、長期にわたる服用は精細胞に損傷を与える可能性があります。
治療中は、目のかすみや胃腸の不調などの副作用に注意が必要です。
この方法により、内分泌系の調整を通じて精子の健康を向上させることができます。
GnRH療法
GnRH療法は、ゴナドトロピンリリーシングホルモン(GnRH)またはその類似薬を用いた治療で、ゴナドトロピンの分泌(性腺刺激ホルモンの分泌を促進する)を促進させることを目的としています。
この方法は、特に間脳下垂体系の異常が原因で精子生成が低下している男性に効果的です。
治療は男性不妊検査の結果に基づき決定され、ホルモンレベルを監視しながら、必要に応じて薬剤の投与量や期間が調整されます。
ただし、治療によって下垂体の機能が抑制される副作用が発生することがあり、その場合は治療の中断が必要となることもあります。
男性不妊になりやすい人は保険適用で検査しよう!
2022年4月以降、不妊治療の保険適用が拡大し、男性不妊治療も対象に含まれるようになりました。
これにより、精液改善のための薬物治療や勃起障害(ED)の治療薬が保険適用となり、治療費の負担が軽減されます。
さらに、無精子症や射精障害、逆行性射精などで精子を直接精巣から採取する手術も、保険の適用範囲内です。
ただし、男性の不妊治療におけるスクリーニング検査(病気を見つける目的で行う検査)は保険適用外なので、自費診療となります。
不妊治療の保険適用により、不妊に悩む男性が治療を受けやすくなります。
男性不妊を予防する方法3選
男性不妊の特徴は現れていない場合でも、妊活を進める場合は以下の3つのポイントに注意しましょう。
- 禁煙・禁酒
- 規則正しい生活
- ストレスの発散
男性不妊を予防することで、妊活の成功確率を上げることができます。
2人の子供を授かるためにも、ぜひ意識して取り入れてみましょう。
禁煙・禁酒
男性不妊予防のためには、禁煙と禁酒が効果的です。
タバコに含まれる有害物質は精子の質を低下させる可能性があり、アルコールの過剰摂取も精子の生成能力に悪影響を及ぼすことが知られています。
これらの習慣を避けることで、造精機能を保護し、生殖機能の健康を向上させることが可能です。
健康な生活を送るためにも、喫煙と過度な飲酒は控えることを心がけましょう。
規則正しい生活
男性不妊を予防するためには、規則正しい生活を送ることが重要です。
規則正しい生活を送るためにも、以下を意識しましょう。
- バランスの取れた食事を摂る
- 十分な睡眠を確保する
- 適度な運動を行う
これらの規則正しい生活が、健康を促進しホルモンバランスを整えるのに役立ちます。
特に肥満は不妊のリスクを高めるため、体重管理が必要です。
また、ビタミンCやビタミンEは抗酸化作用があり、精子を活性酸素から保護するため、これらの栄養素を多く含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。
ストレスの発散
男性不妊予防にはストレスの適切な管理が必要です。
心理的なストレスは内分泌系のバランスを乱し、精子形成を妨げることがあります。
このため、定期的な運動や趣味の時間を持つことで、ストレスを効果的に発散し、身体の調子を整えましょう。
日常生活で没頭できる趣味を楽しむことが、男性不妊の予防に役立ちます。
男性不妊になりやすい人に関するよくある質問
痩せすぎな男性は不妊になりやすい?
痩せすぎと判断されるBMI18.5kg/m²未満の男性は、不妊リスクが高まることがあります。
過度に低い体重は、精子のDNA断片化率を高め、これが妊娠の確率を低下させる要因になります。
精巣の温度は精子の質に直接影響を与えるため、適切な体重管理が重要です。
肥満の場合も同様に、高い体温が精巣に影響を及ぼし、妊娠が困難になる可能性があるため、健康的な体重を維持することを心がけましょう。
男性不妊を改善する方法は?
男性不妊を改善するための主な治療方法は以下のとおりです。
下垂体ゴナドトロピン療法 | 性ホルモンの分泌を促進するホルモンを投与 |
クロミフェン法 | エストロゲンの働きを阻害してテストステロンの生成を促進 |
GnRH療法 | 性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログを用いてホルモン分泌を調整 |
これらの方法は、それぞれの症状や原因に基づいて選択され、男性不妊の根本的な改善を目指します。
男性不妊の原因は生まれつき?
男性不妊の原因は、生まれつきの先天的要因と後天的要因に分けられます。
先天的要因には生殖機能の欠損や発達段階での障害が含まれ、後天的要因にはストレスや肥満、精巣の疾患などが挙げられます。
男性不妊の症状としては、精液中に精子が存在しない無精子症が特に多くみられますが、精子の数が著しく少ない乏精子症にも注意しましょう。
不妊の兆候が見られた場合は、速やかに専門のクリニックで検査を受けることをおすすめします。
男性不妊でも妊娠する?
男性不妊でも妊娠の可能性はあります。
男性が精子の生成(造精機能)を維持し、射精が可能であれば、妊娠を成立させることができます。
なぜなら、男性が約72日ごとに新しい精子を生成するためです。
しかし、精巣の機能が低下すると、質の良い精子の生成が困難になります。
精巣機能の低下の原因には、精索静脈瘤や加齢、不適切な生活習慣などがあります。
加齢による影響は避けられませんが、精索静脈瘤や生活習慣の改善を通じて、精子の質を向上させることが可能です。
男性不妊は何人に1人?
WHOの調査によると、約20人に1人の男性不妊とされています。
つまり、男性不妊は珍しい現象ではなく、多くの男性が直面している問題であるということです。
不妊に悩む男性は、専門の医療機関で適切な診断と治療を受けるようにしましょう
男性不妊になりやすい人は検査を受けよう!
不妊問題は女性側にだけ原因があると誤解されがちですが、実際には男性不妊も一般的です。
このため、不妊治療においては、パートナー双方が共に検査と治療に参加することが重要です。
この記事では男性不妊になりやすい人の特徴として、以下の9つを紹介しました。
- 睾丸に特徴がある
- 精液に特徴がある
- 病歴がある
- 生活習慣の乱れ
- サウナや長風呂が好き
- 長時間同じ姿勢でいる
- 肥満である
- 運動不足である
- ストレスが溜まっている
これらの特徴に当てはまっている方が妊活に挑戦する場合は、医療機関に相談してみましょう。
男性不妊についての理解を深め、適切な診断と治療を受けることで、妊娠のチャンスを高めることができます。